村上春樹氏の代表作といっても過言ではないほどの有名作品。
時代はいまだ学生運動の機運の色濃い1960年台末であり、今から半世紀前の日本が舞台。
しかし今読んでも、全く古臭さを感じさせない。
それは村上春樹氏の作風がとてもポップでありながら洗練されており、それゆえに日本のみならず世界中で現在も愛されていることからもわかるだろう。
物語は、東京の大学生の青年「ワタナベ」を主人公に、彼が出会う様々な人物・事象を経て展開されていく。タイトルの元ネタでもあるビートルズ、そしてボブ・ディラン、「グレート・ギャツビー」など、著者の深い教養が各所に混ぜ込んであり、気持ちのよい読書体験が味わえる。
文体も難解な語句がほとんどなく読みやすくも、比喩やレトリックが洗練されており、新鮮な読書感を与える。
また深いのが「生と死」に関する洞察であり、これが全編を通して描かれるのだが、生きることとは、死ぬこととは、を読んだものに対して想起させる内容となっている。特に対照的なのが、ワタナベの幼少からの友人であり、常に死の影を纏わせる「直子」、はつらつとしていて天真爛漫な女子大生「緑」の対比であり、この二人のヒロインを通して、生きることの意味、渡辺春樹氏が見出した死と生との関連性が露わにされてゆく。
全体的にとてもレベルの高い文学であり、世界中で多くの人が読んでいることから、一度でも全編を通して読めば間違いなく、あなたにとって大きな一つの教養となるだろう。