日本の推理小説の代表的な作家のひとりである江戸川乱歩の作品のひとつです。
江戸川乱歩といえば名探偵・明智小五郎のシリーズが有名ですが、この小説もそのひとつです。
ただし、この小説での明智の登場は少なく、最後の謎解きの段階になって少し出てくる程度です。
江戸川乱歩の推理小説の特徴に、怪奇性の強さが挙げられますが、この小説の怪奇性は物語のスリリングな展開と結びついていて、出色の出来でした。
作品のタイトルになっている「悪魔の紋章」というのは、殺人現場に残されている指紋の事です。
これが大変に珍しい三重渦状の指紋なのです。
この小説は連続して起きる猟奇的な連続殺人事件を追っていく話なのですが、とても人が入り込めないような所で起きた殺人事件の現場にも、この三重渦状の指紋のあとが残っています。
その謎解き、そしてなぜ犯人はわざわざ三重渦状の指紋を残していくのかというその意味、これがとてもスピーディーに展開していく話の中で追われていきます。
江戸川乱歩の作品は、若者向けに優しく書かれているものや、異常なエロスに重点が置かれたものなど、色々と種類がありますが、怪奇性の強い乱歩の魅力を存分に発揮しながら、大人の鑑賞に堪えるだけの高度な推理小説として、これは隠れた傑作だと思いました。