東野圭吾の小説です。以前から同作者の他の作品を好んで読んでおり、この作品も手に取りました。
「虚ろな十字架」は死刑制度の是非がテーマになっています。
死刑制度に関わる問題が起きるのですから、悲しいシーンも多いです。
主人公の家族が被害者となるのですが、家族を失った人の苦しみについて、文章を読みながら痛いほど考えさせられます。
悲しみをどのようにして克服していくのか、死刑制度が悲しみを乗り越えるための一助になるのか、という点もこの小説を読みながら思いを巡らせました。
被害者と加害者、また事件を裁く側それぞれの視点からテーマを見ることができます。
ミステリー要素も、もちろんあります。
小説の中で起こる事件は大変悲惨で、読みながら、一人で家にいたくなくなるような、夜道を歩くのが怖くなるような恐怖感があります。
描写もとても繊細なので、登場人物の感じる恐怖心や悲しみが重くのしかかります。
小説の冒頭で、事件はすでに起こっており被害者も出ていますし、最後まで読んでも救われない内容です。
読んでいる間、ずっと悲しい気持ちでした。ミ
ステリーとしては、結末で明かされる真実に納得がいかない気もしました。
残念な種明かしだと思います。
ただ、小説の前半で本に引き込まれる臨場感、また死刑制度について改めて考えさせられる本としては大変心に残りました。
死刑制度に関する賛否は知っているつもりでしたが、今回新しく気付いた視点もありました。